恐怖の体験【ウィーン編】

さて、フラフラとウィーンで過ごしてきた私だが、今回のウィーンは怖かった。
何が怖いって、まず友人の家で寝て起きたら、線香つきで合掌されていたことである!ひとり暮らしの友人の家には客用ベットなどない。そこで、床に布団をひいて寝ていた私だが、朝、左隣のコーヒーテーブルで何やら気配がする。「また早起きした友人がテーブルにPCのせてメールでもしてるんだろうな」と思い、ムムム、と寝ぼけ眼でそちらをみると、テーブルの上に線香がそえられ、友人が私にむかってお経をとなえているではありませんかっ!
えぇっ!それっておかしくないですかっ!
と慌てて飛び起きたところ、彼女の亡くなった叔父様のためにお経を唱えてみたとか。それはいいけど、場所考えてよ、場所、みたいな。

第2の恐怖は、今回初めて訪れた自然史博物館である。ウィーンの美術史美術館はそのコレクションで有名だが、そのちょうどお向かいには同時期に建設された自然史博物館の建物が、鏡に映るように建っている。これまで、さほど興味が惹かれることもなかったので、未踏査であったが、今回は日本でたまたま読んだ本に、その自然科学筋?の人間にはウィーンの自然史博物館は、宝の山である、と書いてあったので訪ねてみる気になった次第である。
しかし、平日の午後に行ったせいであろうか、まず全然人がいなかった。そんな中、2階部分の膨大な剥製コレクションに足を踏み入れた私は、激しく後悔した。どう怖いってDLのホーンテッドマンションに1名ではいるような怖さですよ。周りに人がいたら全く怖くないのに、係りの人もいない剥製の間にポツリと一人で取り残されるという恐怖。思わず見学する速さも競歩大会並みになろうというもの。深海魚の間では恐怖は頂点に達する。深海の雰囲気をだすために厚いカーテンで覆われた窓、そしてゆらゆらと揺れる照明、横には魚達のホルマリン漬け。深海の恐怖を体験できること間違いなしっ!
この自然史博物館。ウィーン在住の日本人もいったことがない人が多い、穴場中の穴場である。しかし、もし訪れるならば、自然史の専門家に付き添っていただくことをオススメする。観光客1名、ポツンと「見る」のは恐ろしすぎる。