世界の車窓から【チェコ編①】

Roo2006-03-16

皆が口をそろえて言うのだ。
Praha is the most beautiful city in the world.
「ボクがオーストリアで一番きれいな街だと思うのはザルツブルク。けど、世界で一番きれいなのは、プラハだよ」5年前にそう言っていたのはウィーンに住むメキシコ人だったか。電車でウィーンから4時間半。けっこう気軽にいける観光地であるので、ウィーンに住んでいる知り合いは100%、既にプラハへ行っている。友達がウィーンに遊びに来る時に案内する定番コースに、王宮、シェーンブルン宮殿、美術史博物館と並んでプラハが入っているので、中にはもう行きたくない、といっている者もいる。旅好きの私が、5年前にウィーンに来た時にプラハへ行かなかったのは、メルクなどのドナウ川沿いの街に行ってしまって、単に金がなかったんである。プラハに興味がなかったわけではない。ということで、今回は行く気満々でガイドブックを捲っていた次第である。
さて。何気なく開いた雑誌で。車窓から見た広告で。ぼんやりと観ていたテレビで。ふと目に飛び込んできた風景に惹かれて、どこだかもわからないのに、どうしても行きたくなった、ということがないだろうか。今回、チェコのガイドブックの写真をみて、どうしてもある街に行きたくなった。オーストリア国境近くにある街、チェスキー・クルムロフである。友人達は、「はぁ?何故いきなり?」と首をかしげたが、理由なんてない。どうしても、行きたくなった。それだけである。
ということで、プラハならけっこうだけど、チェスキー・クルムロフなら行ったことないし、行きたいかも?という友人を道連れに旅に出た。ウィーンからは国境近くの街まで行って、チェコ内の交通の要所であるチェスケー・ブデェヨヴィツェまで5時間。そこからバスで1時間ほど、かなりローカルな道を揺られていく。あまりいい接続がないので、昼にウィーンを出発して、ようやく辿り着いたのは、暗くなり始めた午後5時半頃である。薄闇に包まれた街は静かで、雪に濡れた石畳にぼんやりと外灯が反射している。「中世の街の面影を色濃く残すこの町は1992年、ユネスコ世界遺産リストに登録されました(緒形直人風)」と、勝手に頭の中ではTBSの「世界遺産」テーマソングが流れ始める。あかん、あかん。
とりあえず、宿はとってないので、眺めのよさそうな宿に目星をつけて値段を聞いていくと、城が眺められる絶好のロケーションにいいホテルを見つけた。部屋のベットに横たわれば、川べりにそびえ立つ岩の上に造られた城がライトアップされた姿がみえる。あまりの景色の良さに、わが友人はご乱心。
友人「とっても素敵な景色ね、もこみち」(←俳優の速○もこみちと思われる)
私「へ?」
友人「私、こんなところに連れてきてもらって、とっても幸せよ」
私「・・・」(ここで初めて私に対する台詞でないことに気づく)
夢見ることは自由ですよ。はい。
そして、ホテルからの夜景を堪能して次の日、はりきってお城見学にむかった私達に襲いかかる衝撃の事実。「チェコのお城は冬の間は閉まっている(プラハ城除く)」どどーん、知っていましたか、皆さん。うちらだけでしたか、そんな間抜けは。ということで、衝動で街を訪れるのもいいですが、下調べはちゃんとしましょう。まぁ、しかし、街のメインは城であるものの、この街全体が300以上の歴史的建造物の集合体である。加えて、ウィーンで活躍したエゴン・シーレの母親の出身地であることから、シーレは数回ここに滞在し、その街並みを作品に残している。街の小路地を歩いているだけで、幸せになる街であったので、満足、満足。

チェコ編②へ続く】
ちなみに、現在はNYに出没中。チェコにいたのは先月のお話です。