♪らん、らんらら、らんらんらん♪(ナウシカのテーマ)

すみません。「オペラ集中計画」挫折しました。キーシンの余韻にひたっていたら、いつの間にか原稿締め切り3日前。仕方ないので(というか自業自得っつー話)3日間アパートに篭りきりで原稿を仕上げる。ハッと気づけば都合のつく日に観たいオペラは終わっていたのであーる。ほほほ。
しかし!楽友協会で18日におこなわれた、ファビオ・ルイージ指揮によるウィーン交響楽団と中国人若手ピアニスト、ラン・ランの共演にいってきましたー。
「ラン・ランが弾くんだよね」と聞いて「へ?パンダ?」といったのは断じて私ではない。友人である。日本人にとって「ランラン=パンダ」という固定観念(?)は強い(と思うのは私だけ?)。実は、以前の空前のパンダブームと同じくらい、ピアニスト、ランランは人気がある。もちろんチケットはとっくの昔にソールドアウト。確認のため、公演数日前にチケット売り場に券の有り無を聞きにいった私に「ない。全然ない。まったくない。皆無」と、またもや全否定語をつかって断言したのも、先日キーシンで同じ台詞を言った執事顔のおじ様である。くそー、こうなりゃ、リベンジやっ!と間違った復讐心に燃えて、あらゆるコネを使ってチケットを手に入れた私である。やるときゃやるんよ。
座席はオーケストラと同じ舞台上。ウィーンフィルのニュイヤーコンサートをテレビで観た事ある人はご存知であろうが、楽友協会の大ホールには、さもオケの一員のような観客席が存在する。密かにこの席に憧れていた私は、「音は悪いけど・・・」と打診されたチケットに喜んで飛びついた次第。一緒に行ってくれた友人は、舞台の上ということを聞いて青くなり、「私、何着ていったらいいの?」と知り合いに相談し、「いや、誰もあんたを観にくるわけじゃないから」と返されていた。ふむ、それでも気になるのが女というものですよ(と他人事)。
公演内容は、モーツァルト交響曲ト短調KV183.そして、ショパンのピアノ協奏曲第一番ホ短調op11.最後にシューマン交響曲第一番変ロ長調op.38「春のシンフォニー」
結論から申しますと、あの席楽しすぎ。まず入り口がオケのメンバーと同じ。席に着く時は、入り口で楽器を抱えて出番を待つオケのメンバーをくぐり抜けていくのである。バックステージをのぞいたようで、なかなか楽しい。そして何よりも、いつもは私たちに背をむけている指揮者の表情がみえることが面白い。コンマスとのアイコンタクトや、曲に入り込んでいくルイージの表情。さらに、舞台にむかって右側にあった私達の席は、ピアノの鍵盤こそ見えないが、ラン・ランの表情がよく見える場所であった。事前に「彼のパフォーマンス面白いよね」と知り合いの音楽関係者にいわれていたのだが、その意味がわかった。ラン・ラン、ずばり陶酔系。オケにむかって「瞳で語る」。ここだぁ!というところで、身を乗り出してオケに「瞳で語る」。ジャンだ!ジャンがここにいる!(BYのだめのカンタービレ)と密かに悦にはいっていた私である。ショパンに華が舞う。ウィーン・フィルならともかく、ウィーン交響楽団の演奏は聴いたことがなかったが、これがなかなか。すっかりいい気分になって、休憩時間に一杯やりにいった。
だが、そこでなんとあの券売り場の執事顔のおじ様を目撃!しかも、おじ様の眼鏡は、なんだかお洒落な赤い眼鏡に変わっている!きっと売り場にラン・ランチケットを買いにくる人々に「おれは持ってるもんね〜」と心で思っていたにちがいないっ!(←迷惑で勝手な想像)くぅぅ〜、次は負けないわっ!と、ハンカチを噛み締めて再リベンジを心に誓って更けてゆくウィーンの夜。
ところで、「ラン・ラン=女性名」というのはパンダ故の日本人のステレオタイプなのだろーか?