なにしているの-?という疑問


こんなに長くウィーンにいるつもりはなかった。家族にも、「さ来週くらいには帰ってくるね」といって出てきたのである。ただ、フライトチケットの関係もあり、しばらく帰れなくなっただけである。あはは。
ということで、1週間ほどなら「あの美術館へ行って、あの教会も見に行って、あのカフェもいっておいて・・・」などと慌ててまわっていくところだが、しばらく帰れないとわかった途端、普通に生活し始める私である。起きて、ごはんを食べ、お昼すぎまで原稿を書き、お昼を食べた後に散歩にでる。ウロウロと彷徨える亡者のように街を歩いた後、帰宅して夕食をつくる。夕食後は、友人とDVDで日本のテレビを観る。ほとんど日本にいる時の生活と変化なし。というか、こちらにいる間は、たいそう規則正しい生活をしているともいえる。
週末は時々、友人の知り合いに食事におよばれしたりする。今日お邪魔したのは、ウィーン在住のソプラノ歌手の女性とピアノの修理をしている職人さん夫妻のお家。カール教会から歩いて5分ほどのアパートは、1900年代前半の建築で、階段の下部分にバロック様式の装飾が残されていたことと、古いエレベーターから考えるに、バロック様式の建物を1900年前半にアールヌーヴォー風なテイストをいれて建てかえたってところか。というか、こういう箇所をみるところがくせになってるなぁ、最近。さて、お部屋に入ると天井が高いけれど、それにあわせて家具もアンティークでそろえられていて、とても快適なお家に感動。そして、なによりも感動したのが、そこに備えられたピアノ。バイエルンの方のお城の主から譲ってもらって、自分で修理したというピアノは、1897年製造で、もともとは皇帝が所有していたものとか。自分で修理できるというのがミソですな。ふむふむ、建築修復している人も、自分で修復した建造物に住んでいる人多いもんね。って、そりゃまた違うか。
やっぱり音楽を仕事にしているとちがいますねぇ、と話題は最近のウィーンでの演奏会へ。さすがに音楽関係者ということか、彼女たち夫妻は楽友協会の会員である。「せっかくだから、ウィーンフィル聴こうと思ったけど、今月は25、26日とかなんですよ(さすがにそれまでには日本に帰れると願いたい)」と私が残念がっていたら、「あー、そういえば、ムーティだったね」とおっしゃる。そう、今月のウィーンフィル定期公演はリッカルド・ムーティ指揮のモーツァルトバルトークヒンデミット(←これ知らん)。そういえば、1月27日のザルツブルクでは、ムーティウィーンフィルモーツァルト誕生記念演奏会やってたみたいやし、この数ヶ月のムーティ出番多し?「ま、それよりせっかくだから、オペラでも行ってきたら?やっぱりオペラ座で観るのと日本で観るのとではちがうよー」といわれて、急遽、今回の滞在ではオペラ集中計画(って実は、モーツァルトの誕生日には四重奏は既に聴きにいってるけど)。来週あたりのシュトラウス「薔薇の騎士」を狙ってみる。もちろん立ち見だけど・・・。
で、これが実は、あんたそこで何しているの?とよせられる疑問に対するお答えだったりする。えへ。