走れ、走れ【ブラティスラヴァ①】

Roo2006-02-01

週末をつかってスロヴァキアの友人の家へ行って来た。ベルギーでの研究中に出会った建築家である。最初彼女に会った時、「スロヴァキアから来たの」という台詞がよく聞こえず、心の中で「スロヴァキアだろうか、スロベニアだろーか」と常に疑問に思っていたが、ずっと確かめられなかった。メールで、ウィーンに行く、という話をしたところ、「近いから私の住んでるブラティスラヴァにもいらっしゃいよ」と誘われ、地図を確認したところスロヴァキアであることが判明した次第である。私の世界認識、そんなもんである。
ウィーンとスロヴァキアの首都であるブラティスラヴァ間は列車で1時間弱。しかも、往復14ユーロ。なんてお徳な週末の旅。スロヴァキアは2004年5月からEUに加盟したものの、まだパスポートコントロールも存在するし、貨幣もユーロではなくコロナである。物価も安い。
マイナス15度まではいかないが、それでも土曜の気温は0度のあたりをいったりきたり。街中とちがって、列車が走る郊外は一面の雪原で景色も寂しい。「うわぁ、東欧の冬、て感じやねぇ」と一人哀愁?にひたっていると、同じ車輌になった6名ほどのアメリカ人女性は、真っ白な雪原を走るウサギを見つけては「まぁ、かわいい!」と歓声をあげ、
♪Rabit, Rabit, Run,Run,Run♪
と、にぎやかに歌っている。同じウサギを見ても
冬 → 食料なし → ウサギ → うまそう → 狩らねばっ!
なーんて、連想している私とは大違いである。お腹を鳴らしながら(ちょうど昼時だった)中央駅に着くと、友人と彼女のお父さんが迎えに来てくれていた。「うちの父母はロシア語なら話せるんだけど・・・」と申し訳なさそうに言うが、街の中心部に行く車中では、無口そうなお父さんが建物を指差してはボソボソとスロヴァキア語で説明してくれる。大きい荷物はお父さんが車で持ち帰ってくれ、昼食後は、友人の案内で街を歩くことにする。
小高い丘の上には要塞のようなブラティスラヴァ城がある。城の南にはドナウ川が流れており、東側にいくつもの教会の尖塔がみえる旧市街が広がっている。お互い建造物保存で知り合った仲なので、自然に見学先もそういう関係の場所になる。いろいろな教会に入っていっては、これはバロック、あそこはゴシック、あの装飾部分はロココ、などとグルグル。観光のメインのはずの城に辿り着いた時は、日が暮れているような始末だったが、18世紀にはマリア・テレジアの居城となったこの城の建物自体は、第二次大戦後の復元である。丘に登っても特に城内をみるわけでもなく、その隣に建てられた1993年チェコスロヴァキア解体後の建築であるスロヴァキアの国会議事堂と歴史的景観とのアンバランスさについて、ふたりで城の周りを討議しながらまたグルグル。
寒さに震えながらドナウの夕陽をみて、一日が更けていく。

②につづく・・・