秋だしね

友人がウィーンに誘ってくれた。それもいいかな、と思った。
数年前、やはりウィーンに住んでいた別の友人に誘われて、10月のウィーンに一ヶ月ばかり居たことがある。「人もフレンドリーではないし、暗いし、寒いし、住むには嫌なところだよ」と散々聞いていたので、びくびくしながら訪れたが、これが意外に楽しかった。
本格的な冬が始まる前の晩秋の街。毎日毎日歩いて歩く。「田園」が作曲された郊外の小道、宮殿、教会、オペラ座、楽友協会ホール、リンクの内と外。そして、オットー・ワーグナーの建築を訪ねてガイドブック片手にぐるぐる。11月には市庁舎前にクリスマス市がたって、クリスマスへのカウント・ダウンが始まり、ホット・ワイン片手にふらふら。
日が暮れると、友人とカフェで待ち合わせ、がやがやと騒がしく煙草の煙でいっぱいのなか、数時間暖をとり、まったりとおしゃべりする。
冬にむかって、オペラやオーケストラのイベントも目白押し。11月と12月の論文と研究発表の山場が終わったら、5日間くらい、ふらりと行って帰ってくるのもいいもしれない、と色づき始めた木々をみて思っている。