if something happen

披露宴も終わって、ほろ酔い加減で最終電車を携帯で検索していたら、バリ・テロの記事。「えぇっ!」といっきに目が覚めて携帯にむけて叫んだ私に周りの人間がびっくりしてたけど、そこは黙っておく。
9.11事件以降、「テロ」はぐぐっーと身近な単語となった。毎日のように世界のどこかでテロが起きている。イラク、アフガン、トルコ、イスラエル、アジア、そしてヨーロッパ。以前にもテロはあったはずなのに、それらニュースに注意を払えなかったのは、やっぱり身近なこととして認識できなかったからだろう。どこか、どうしても他人事、だったのだ。毎日のように流れるニュースのなかで、バリでのテロについて私が特別な感情をもつのは、それがやっぱり東南アジア研究をするにあたって「身近」な出来事であるからだ。世界は小さくなった。それでも、やっぱり世界は広いのだ。
「If, If something happen..(もし・・・もし何かが起こったら)」
ルーヴァンにあるタイ料理屋で、食後にでてきた珈琲を手に取りながら、つぶやいたのはイスラエル人の友人だった。22名いた研究所の多国籍なメンバーの中で、兵役を終えていたのは彼女だけという事実。ふたりだけで食事をすると、何故か話しは「ここは平和だね」という話になり・・・おそらく世界中をウロウロする私に、彼女は少しそういう気分になったのだ。それくらい周囲のベルギー人学生は外のことに関心がなかった。
「この間、もしベルギーで何かが起こったら、という話になったのよ。ロンドンの事件もあったしね。けど、ベルギーの学生がいった『なにか』は違うことだったわ」そういって彼女は苦い笑いを浮かべる。
そう、そのベルギー人学生が答えた『なにか』とは。
「うーん、ベルギーでなにか?ブリュッセルのオメガングって祭りはけっこう盛大だよ?あぁ、ルーヴァンでも今度音楽祭があるよね。それと・・・」
うーん、something happenではあるわな。
「初めてイスラエルの外で生活してみたけど、こういう場所も世界にはあるんだという事を学んだわ」このままベルギーに住んでみるっていうのは、どう?という私の質問に「そうねぇ、けどここは私のホームではないから」と笑った。
変な話、私にとってパレスチナ問題がぐぐっと身近になった瞬間である。世界は狭くなったけど、やっぱり広いと思うのだ。それを狭くするには、想像力、そして人と人の出会いだと私は思う。彼女はまた、パキスタンからのクラスメートと笑う。
「私たち、お互いの国だけは入れないパスポートを持ってるの」
なるほど、国や宗教を越えて、つながるものが確かにあるのだ。地味な努力であるけれど、人と人との触れあい、これを大事にする事。まぁ、出会いの数だけ反省することも多いんだけどね・・・。