ある日本語が劇的に広まりし事

Roo2005-01-10

「ところで、ここ数日ある日本語が急激に広まっているよね」
そう話を切り出したのは、パリに住む仏人友人である。久しぶりの再会、最近のお互いの近況報告から始まって、数時間たった頃だった。
私が休暇中、滞在させてもらった日本人の家にはテレビがある。なので、キオスクでチラリと見た新聞からニュースを知った私は、どこかで被害状況などを報道している番組がないかとチャンネルをまわしていた。しかし、フランスはニュース番組が驚くほど少ない。朝と夜に数十分ほどやるニュースが私の情報源となったわけだが、その報道も、いち早く動き出したフランスの救助活動などの報道や、「津波とは」と説明するようなものばかりで、被害状況に関するものはほとんどない。仏人の犠牲者も多かったはずなのに、人々は情報をどのように手に入れているんだろう、と疑問に思っていたら、「フランス人は新聞好きだから、そっちに詳しく書いてるんじゃない?」と言われた。なるほど、と思い新聞を購入しようとするが、考えれば私の仏語は「ル・モンド」を「読む」レベルではない。「買う」ことができるくらいのものだ。なので、パリで購入できる朝日新聞を買って情報を手に入れる。被害にあった地域の地図、被害状況などが詳しく書いてあるのはさすがだ。

ベルギーに帰って、インターネットを通してその被害の大きさに驚く。残念ながらテレビがないので、ベルギーにおける報道がどのような形になっているのかはわからないが、近所のスーパーに年始から現れ始めた「TSUNAMI」援助に協力を!というオランダ語を見れば、とりあえず、今の段階ではベルギーの人々の関心を集めている事がわかる。しかし、ベルギーだけではなく、日本においても日々津波報道が小さくなっていく事からわかるように、何より怖いのは人々が徐々に無関心になることである。ヨーロッパで「TSUNAMI」災害に対する援助活動を持続させること。それは、他国に比べれば段違いに津波に対する関心の高い日本よりも難しいことと思われる。急激に広がった「TSUNAMI」という日本語。果たして何時まで継続して関心を集めることができるのか。