週末と学生大移動

土曜の朝、しばしばルーヴァンで見られる光景がある。それは、いまから一ヶ月くらいの旅行ですか、というくらいのバックパックや旅行鞄を抱えて駅にむかう多くの学生の姿である。ある者は、列車で、ある者は車にその荷物をつめこんで、ゾロゾロとルーヴァンから出ていく。注意深く観察すれば、それら学生が99%ベルギー人の学生であることに気付くだろう。大きな荷物を抱えて彼らが向かう先は週末の小旅行ではない。ベルギー国内にある彼らの実家である。


ルーヴァンからどんな国境沿いに家があっても、数時間で着いてしまうベルギーでは、学生は大学に通う平日にルーヴァンの下宿におり、週末は家に帰るのが通常である。その際、彼らが持ってゆく大きな荷物は当然お土産などではなく、1週間のうちにためた洗濯物である。通常、学生がかりるようなアパート、下宿には洗濯機などない。地元ルーヴァンの人々さえ、洗濯はコインランドリーでおこなうことが多い。これは、パリでもロンドンでもニューヨークでもみられる現象であるので驚くにはおよばない。しかし、土曜の朝に大量に荷物を抱え、日曜の夜にまたゾロゾロと帰ってくる学生の姿は、最初は民族大移動かと思うありさまであった。

よって、人口19000人の住人に28000人の学生を抱えるルーヴァンでは、週末にいっきに人口が減る。しかし、その代わりに観光客が市内を訪れるのも週末なので、ちょうどいいのか、とも思う。


それにしても、あんなに洗濯物がどうしてたまるんだろう・・・と思っていたら、彼らはなんと実家から次の週の食料も仕入れて帰ってくるらしい。いいなぁ。(←切実)