【東福寺】水を司るもの


ベトナムからのお客様を連れて清水寺東福寺、東寺へ。普段なら、私の方から簡単な歴史紹介をするところだが、今回は木材専門の先生が同行しているので、私も一緒に歴史的建造物の木材について講義を聞く。うーん、面白い知識ばかりが増えていく今日この頃・・・。
東福寺は、たまたま国宝の三門が公開中。上に登れる、ということだけかしら、と思って登った私は大馬鹿者です。棟高22メートルに達する門の二階には、お釈迦様が悟りを開いた瞬間と、極楽浄土が展開していたのです。全く知識なしで挑んだ東福寺だったので、大仏様式のドドーンとした門の中に、あんな世界が存在するギャップに目を見張った次第。
建物内では、ご案内の方による説明が定期的に行われていて、仏像、天井画などを丁寧にご説明していただけた。天井画は、明兆とその弟子によるものらしいが、龍や迦陵頻迦などの想像上のものたちが生き生きと描かれている。実は、日本で描かれるマカラを初めてみた。マカラはヒンドゥー教にでてくるが、ジャワの遺跡でも門などの装飾に使われたりする、魚のような鳥のような想像上の生き物である。水を司るものでもあるので、どうやら火除けの呪いとして描かれたらしい。これが日本ではよく建造物の棟上にある鯱に転じたらしいが、まぁ、そのへんはどっかに研究している人がいそうだ(と人任せ)。ぱかっー、と口を開けて、なかなか、かわいい。
写真は有名な通天橋の奥にある開山堂。銀閣寺を少し思い出させるような佇まいながら、画期的な二階の構造が珍しい。紅葉の時は、1日数万の人が来ることもあるらしいが、人がいない時こそ楽しみたい東福寺でした。