ストラスブールにいってみた

Roo2004-11-13

その大聖堂の扉をくぐったのは、ブリュッセル発急行列車に乗りこんでから5時間ほどたった頃だった。土曜の買い物客で賑わう夕暮れの街を横切り、細い路地からのぞく大聖堂を見つけた。絶えず人が出入りする聖堂内への入り口をぬけると、外のざわめきは石に全て吸収されてしまったかのように静寂に包まれる。

ヨーロッパの建築を見ているといつも目は上にいってしまう。よって、いつも首が痛くなる。ウィーンの街なんて歩いている時は常に上をむいて歩いていた。(パリでも同じことをしていたら、犬の糞という洗礼を受けた。)ストラスブールの大聖堂でまず圧倒されるのは、赤色の砂岩に彫られた外側の彫刻群であろう。しかし、中にはいったらはいったで、その豪華なステンドグラスとパイプオルガンに圧倒される。聖堂内にいるのは8割方観光客であるらしい。なんとなく周りの流れについていくと、高さ十数メートルはあろう巨大な仕掛け時計の前にでた。みると16世紀の天文時計と書いてある。どうやら観光客はこの時計の前に集まっていたらしい。時刻をみると夕刻6時まであと数分。もしや、とてもタイミングのいい時にきたのでは、と有楽町マリオンの前にいるような感覚で時計を見上げて待つことしばし。気づくと回りには数十人の人々が皆カメラを構えて時計を見上げている。否応なしに高まる期待。そして意外に軽やかな鐘の音が聖堂内に響く。

おぉ、という人の声につられて時計の最上部をみれば、骸骨のような人形がなにか動いてどこかへ移動していくのがみえる。これは、きっと、その下の天文盤のようなものが開いてすごいものが出てくるにちがいない、と瞳をキラキラさせて待っていると、すぐに、「はーい、終わりでーす。移動してくださーい」という聖堂の警備員のような人の声。って、人形が一体動いただけなんですけど。え?それだけ?それで終わりなの?という心の声は、周りの人々の表情から、どうやら私だけの感想ではないらしい。みんな首をかしげ、まだなんかあるんじゃないの?と未練タラタラで時計をあとにする。後ほど、購入したガイドブックを読んでみると、お昼の12時半にチェックするべし、と書いてある。では、それ以外の時間を知らせるものであったが故に、そんな派手なものではなかったのか。けど、どうして12時じゃなくて中途半端に12時半なの?とここでまた疑問。今回はあきらめたけど、12時半にいっても、動く人形が1体ではなく、2体になる、というオチの気がして怖い。