大家さんと私

古い一軒家に下宿している。古いといってもおそらく100年ちょい。1階と2階に大家一家が住み、3階部分の6部屋にベルギー人学生2名、ドイツ人カップル、そして私。(2部屋空き部屋)大学の紹介でみつけたのだが、大学(つまり城)から歩いて3分、天井近くまで続く大きい窓2面、広がる自然、猫3匹、木の床、広い階段、飛ぶニワトリ、静かなところが気に入っている。窓から木しか見えないところも、隣家が密接して建てられている街中では考えられない。駅からバスで20分ほどだが、心なしか街よりも空気がきれいな気もする。バスから降りると、大阪から電車に乗って三田で降りる瞬間を思い出す。それくらい空気がうまい。

大家さんは「リーガルコンサルティング」なるものをやっているそうで、家はオフィスも兼ねている。英語・仏語・独語・オランダ語を流暢に話し、私とはオランダ語がまじった英語で会話してくれる。週末は大抵ベルギーの海岸沿いに持っているという別荘で過ごしているそうで、同じ家に住んでいても、週に1回偶然顔をあわせればいい方だ。私も外面だけはいい方なので、けっこううまくやっていると思うし、大家に対して腹を立てたことはない(はず)。ただ、この家(いや、部屋)の唯一の問題は寒さだ。(家のどこかで蝙蝠がご臨終あそばして、その腐臭が3日間消えなかったことを除けば)

今日もまた、セントラル・ヒーティングが動かない。
「どんどん苦情をいうべき」という友人のアドバイスに従って、問題がある時は大家に言うようにしているが、12月はその苦情を言うべき大家がバケーションに行ってしまい、最終的には蝋燭をパソコンの横に置き、手を温めながらキーボードを打っていた。我慢できなくて小さい暖房器具を購入したので、今はそこまでひどくはないが、やはり1週間のうち2日間くらいは暖房が効かない。特に週末が全く動かなくなるなぁ、と思って大家さんに言ってみると「あ、それは君がいることを忘れて元栓を全て閉めていったからだ!」と明るく言われた。おい、コラ。とツッコミたくなったのは私だけか。

ま、そんな大家にもいいところはたくさん・・・いくつかある。新年にパリで買ってきたお土産を渡したら、お返しをいただいた。英語の本で大家さん一家のサインがはいっている。あらまぁ、と本のタイトルをみれば

"Being Good"

いいたいことはそれだけかぁっ!(と心でちゃぶ台をひっくり返す)

よく内容をみたら「他文化やマイノリティを認めるにはどうしたらいいか・・・」とかいう内容だったけど。それもどうよ?大家さん。
とりあえず、今週日本に帰ったら暖かいお部屋で寝れることを願う・・・。